初夏の夕暮れ、逆さに落ちる鳥の姿を見た
七月五日(日)
基本的に休日は家から出ない。
しかし今日は少し夏らしくなった気温にそそのかされ、今年初めての半袖を着て出かけてみることにした。
出かける先は近所のカフェ。なんとなく型にはまっているような気がして気後れするけれど、私はカフェが好きだ。
とは言ってもさすがは引きこもり、好きなのは「ほどよく空いていて趣のありすぎないカフェ」である。
混みすぎていると人の声や往来に気を遣ってしまうし、趣がありすぎて常連だらけだったりどこの国のお土産か分からないものがずらっと並べられたりしているカフェ(この場合「喫茶店」というべきだろうか)だと、世間話が不得意な私にはハードルが高い。
出発ギリギリまで行くのを迷っていたのは、口コミに「日によっては売り切れちゃうこともあるみたい!」と書いてあったからだ。実際に以前店の前を通ったとき、売り切れの張り紙が出ていたこともある。売り切れることは混雑を意味し、混雑はメンタルの死を意味する。
「前を通ってみて人がたくさんいたら、コンビニでアイスコーヒーを買って家でのもう。製氷機を洗って氷も作ろう」と、まるで帰ってくる想定で家をでた私は吸い込まれるように店へ入っていった。
つまり、なんというか、すっごうううく空いていたのだ。
今日持って行った「マチネの終わりに」は併読しているというのもあり、読むのに数ヶ月かかっている本だ。
ノウハウ本であればひとつのトピックに対し連続性がさほどないためさくさく読めるのだが、小説となると一変し、背景を理解してどっぷり読みたいと思うあまりぜーんぜん読めないのだ。いや、これは後付けの言い訳である。真相は「あつまれどうぶつの森」のやりすぎだ。
今日も読み切れなかったなぁと少しがっかりした気持ちを持ちつつ、カフェを背にした。店名にもなっていた焼き菓子が非常においしかった。また来たい。
みんなテイクアウトだけにしてくれないかなと思いながら、夕暮れを歩いた。